さまざまな人がいます

さまざまな人がいます
高齢者

身体機能が全般的に低下しているため、明らかに特定の障害がある場合以外は、外見上顕著な特徴が見られないこともある。しかし、程度は軽くても様々な障害が重複している可能性があり、移動全般において身体的・心理的負担を感じていることが多い。

機能低下の内容や程度は様々であり、本人が気づいていないうちに進行していることもある。身体的な機能低下はそれぞれの障害と関連して対応を考えることができる。例えば、耳が遠くなるということは聴覚障害の一部と考えることができ、白内障で視力が低下することは、視覚障害の一部ということができる。

心理面では、体力全体が低下している高齢者は、機敏な動きや、連続した歩行等に自信がなくなり(また、実際に困難になり)、心理的にも気力が低下してくることがある。

移動上の困難さ

  • 人混み、大規模な旅客施設、普段利用しない場所では不安を感じやすい。
  • 若い人のように長い距離を歩いたり、素早く行動することが困難な傾向にある。
  • 転倒したり、つまずきやすくなり、大きなけがにつながる可能性がある。
  • 路線図、運賃表、時刻表などの小さな文字が見えにくい。
  • 新しい券売機等の操作がわかりにくい。
  • 階段の上り下り、車両の乗降などは、身体的負担が大きい。
  • 階段の利用については、上るとき以上に下るときの身体的負担が大きく、不安に感じる。
  • トイレに頻繁に行きたくなる。
  • 長時間の立位が困難であり、ベンチなどに座る必要がある。
  • 屋外や空調下などでは、水分摂取が適宜行えない等から体温調整が難しい。

認知症

認知症は加齢に伴い著しく出現率が高まる疾病である。認知症の基本的な症状は単なる「もの忘れ」ではなく、脳の萎縮や血管の病変によって起こる認知・記憶機能の障害である。認知症にはいくつかの原因があり、アルツハイマー病や脳血管性認知症が代表的である。

移動上の困難さ

  • 体験の全部や少し前のことを忘れたり、忘れたことの自覚を伴わない記憶機能の障害がある。
  • 自分のいる場所や行き先、時間がわからなくなる見当識の障害がある。
  • 徘徊行動をとり旅客施設などに迷い込む場合がある。こうした行動は制止が困難な場合が多い。